総入れ歯を装着するか迷っている時に知っておきたい情報

多くの歯を失ってしまい、総入れ歯を装着しようと考えている時には、総入れ歯のメリットとデメリットを知っておく必要があります。機能性やメンテナンスの注意点や、筋肉やアゴ関節との相性は特に調べておきたい情報です。

失った歯の代わりとして便利な総入れ歯は、扱い方を間違えてしまうと変色や歯周病などのリスクが発生します。アゴの形に合う総入れ歯を選ぶ方法など、治療を始める前に知っておいた方がいい情報も多いので注意が必要です。治療を始めようか迷っている方々のために、総入れ歯を装着した後のアゴの変化や、メンテナンスの方法に関する情報をご紹介します。

総入れ歯を作るまでの流れと歯医者の選び方

総入れ歯

歯医者に足を運んだ当日に総入れ歯が完成するわけではなく、型取りなどの複数のステップを進めていかなければいけません。特に重要な工程だと言われているのが型取りで、型の作り方を間違えてしまうとアゴの負担も大きくなり、関節痛を発症する原因となります。 精密な型を作る必要があると医師が判断した時には、1回ではなく2回ほど型取りを行うこともあります。2回ほどに分けて型取りを行うことによって、患者のアゴの大きさや左右のバランスに合わせた、理想的な型を作ることが可能です。

口の中全体の状態を医師が詳しく調べて、頬や唇や舌などに悪影響が及ばない総入れ歯の形を見つけ出します。食事中に舌をよく噛んでしまうことを悩んでいた方々も、アゴに合う総入れ歯を作成することで悩みが解消したという例も珍しくありません。 技術力で優れる歯医者はアゴの形だけを考えて総入れ歯を作るのではなく、口の周囲の筋肉とのバランスも意識します。筋肉の動きに合わせた型を目指すことでアゴを動かした時の違和感を減らすのが、筋肉とのバランスを考える理由です。

口の周囲にある筋肉の状態などを考えずに総入れ歯を作ると、舌を置く位置もおかしくなり食事中に舌を噛みやすくなってしまいます。型取りのやり方を間違えるとアゴだけでなく、口内全体のトラブルが起きる原因を作ることになるので、型取りの技術で信頼できる歯科を頼ることを意識してください。複数の検査用の機器を組み合わせて、オーダーメイドのトレーを製作する歯科は型取りの技術で信頼できます。

食べ物を噛む力が変化してしまう場合もある

代替テキスト

上下の歯を全て総入れ歯に変えようか迷っている人は、総入れ歯を使うと咀嚼力がどのように変化するのか最初に調べておかなければいけません。本物の歯が生えていた時と比べて、総入れ歯を装着した後は咀嚼する時の力が2割ほどに下がってしまう場合もあります。 せんべいなどの硬い食べ物を噛むのが難しくなり、慣れるまでは食事中にストレスを溜まる可能性もあるので、食事のコツなどのアドバイスを医師から受けてください。

アゴの一部にだけ力を入れて食べ物を噛むのではなく、全体的にバランスよくアゴに力を入れながら噛むのがコツです。人によっては慣れるまで数ヶ月ほどの時間がかかり、間違って舌の一部を噛むといったトラブルが起きることもありますが、慣れれば本物の歯と変わらない感覚で食事を楽しめます。 完成した直後の総入れ歯を使う際には、入れ歯安定剤を使わない方がいいと考える医師も珍しくありません。

総入れ歯を使っていくうちにアゴの形が変化して、噛み合わせも変わってくる可能性があるためです。 噛み合わせに違和感があるからといって、自分だけの判断で入れ歯安定剤を使おうとせずに、医師にアドバイスを求めることを推奨します。完成した総入れ歯をそのままの状態で使ってみて、調整が必要だと分かった際には医師に判断を仰ぐことが重要です。 アゴの形に合わないものを使い続けてしまうと、アゴの骨の吸収を促すことになりかねません。入れ歯安定剤を使うことがアゴの形の安定に繋がるという思い込みは止めて、医師と相談しながら計画的に使用することをおすすめします。

変色などのトラブルを防止する方法を学ぶ

総入れ歯

アゴの形に合う総入れ歯が完成した時点で治療が全て終わるわけではなく、定期的なメンテナンスを受けることも重要です。メンテナンスを忘れてしまうと総入れ歯が変色してしまい、菌類が繁殖することで歯周病が発生するリスクもあります。 総入れ歯に付着した汚れを落とすために、クリーニング用の機器が設置されている歯科も多く、ブラシなどで磨くよりも効率的に汚れを取り除くことが可能です。患者が自宅にあるブラシを使って汚れを落としているだけでは、隙間に溜まった汚れが残り続ける可能性もあるので気を付けてください。

汚れが溜まった総入れ歯にはカビが生えることもあり、黒ずみによって口元の見た目が悪くなるだけでなく、健康的な被害が起きることもありえます。 市販の入れ歯洗浄剤を使って汚れを落とすつもりなら、部分入れ歯用と総入れ歯用の2種類が販売されていることに注意が必要です。種類が合わない洗浄剤を選んだことが原因で汚れが残り続けて、歯周病が悪化したという例もあります。洗浄剤の種類を間違えると金属の一部が腐食して、そこから黒ずみが発生するリスクもあるので、入れ歯用洗浄剤を購入する際にはパッケージをよく見てください。

ステイン汚れによって人工歯と歯茎の境目に色が付いた場合は、ステイン汚れに適した洗浄剤を選ぶことで着色が改善されます。力を込めて磨けば汚れは何でも起きると考えずに、メンテナンスのやり方をよく調べることも総入れ歯を長く使い続ける方法です。自分で手入れを行うのが難しい場合は、定期的に歯科まで足を運ぶことを推奨します。

総入れ歯に変えた方がいいタイミング

総入れ歯

口内に残っている歯の本数が少ないけれど、部分入れ歯を上手く使えば食事は楽しめるので、総入れ歯に変えるべきか迷っているという人も珍しくありません。アゴの力が均一に使えているのなら問題はないのですが、アゴの一部にだけ負担をかける状態が続いているのなら、部分入れ歯から総入れ歯に変えることをおすすめします。 咀嚼力を一部の筋肉だけで支える状態が続いてしまうと、関節痛が起きるだけでなくアゴが変形する可能性もあるためです。

変形したアゴを元通りの形に戻すのは簡単なことではなく、神経痛が長期的に続く可能性もあるので、アゴが受けている負担には注意してください。 総入れ歯に変えるべきか迷っているのなら、まずは骨格の詳しいデータを得るために歯科で検査を依頼することを推奨します。歯科用CTスキャナーを使った検査を受けることで、アゴの骨格がどのように変形しているのか視覚的に把握できます。

本人は特に問題はないと考えていても、部分入れ歯を無理して使い続けたことが原因で、骨格が歪んでしまったという例も少なくありません。 歯科では総入れ歯に変えた方がいいと強引に勧めることはなく、1本でも残っている歯を守るための治療も受けられます。5本以上の歯が残っていたとしても、総入れ歯に変えることを勧められる場合もあるなど、患者の状態によって治療の方針は大きく変わります。自分の考えだけで総入れ歯にするべきか決めるのではなく、歯科用の検査機器を活用するのも選択肢の一つだと意識して、気になることがあれば医師に相談してください。

総入れ歯は多くのメリットがある器具ですが、治療を始めるべきタイミングやデメリットなども考えてから、部分入れ歯から総入れ歯に変えることも重要です。慣れるまでは食べ物を噛む際に違和感を覚える可能性もあるので、医師のアドバイスを受けながら正しい使い方を習得してください。正しい手入れの方法を学べば、総入れ歯は綺麗な状態を長期的に保てます。